Darboゼミの出張所

ウェブ版ゼミナール

『マトリックス レザレクションズ』のこと

映画『マトリックス レザレクションズ』を観ました。前シリーズを前提にした映画でした。単品では何が何やら、といった感じです。
でも面白かった。批評性もりもり。前シリーズからこんなノリだったかしらん。

さて今作は、個人的には前シリーズで発見された「資源」(=コンテンツ)をいかにして用いるのかが描かれた作品として受け取れました。すこし飛躍させると、現代の「資源」をめぐる世界のあり様が物語に落とし込まれた作品、と言えるのではないでしょうか。

前シリーズでは「資源」がまさに発見され、それによって世界が新しくなる(更新される)様子が描かれていました。今作では、その発見された「資源」が、その後、どのように用いられたのかーーそして現在まで用いられているのかが示されます。「資源」とは物語世界においては「ネオ」であり、現実世界においては『マトリックス』という映画そのものです。『レザレクションズ』ではそれがいかにして世界に組み込まれ、そのなかで駆動しているのかが見せつけられます。

そのあり様を考えるとき、象徴的なのはアナリストというキャラクターです。今作において倒すべき敵として登場するのですが、彼は「資源」を分析し調整し、効率的に運用しようとする存在です。彼に現代的な「資源」利用におけるポイントを見出すことができるでしょう。

現代は「資源」を世界を根本から変革させるものとして扱うよりも、世界を延命させるために用いている。有限な「資源」から既存のエネルギーをいかにして絞り出すかに、世界は関心を抱くばかりである。

このようなことを今作はまずは述べているように思えてなりません。そうであるならば、今作が前シリーズに自己言及的な性格を持っていること、舞台としてちらりと日本が登場すること、最後のオチが「キャットリックス」であることも腑に落ちます。

ともあれ「マトリックス」は繰り返し観てあーだこーだと考えるのが楽しいシリーズ。今作も例外ではありません。まだ1回観ただけの感想なので、これ以上のことは2回目、3回目を観たときに考えることにします。そう思わせてくれる映画でした。