ヴァレリーと天沢退二郎のこと
ヴァレリー「一詩人の手帖」に
一作品は、必ず完成したものだなどということは絶対にない、というのも、その作品を作った人間が決して完成した人間ではないからであり、彼がその作品から引き出した力と鋭敏さとは、彼にまさしく作品を改良する才能を賦与するからであり、以下同様のことが続くからだ。 彼は、作品から、作品を抹消したり、作り直すのに必要なものを引き出す。自由な芸術家は、少なくとも、このようにものごとを見なければならない(『ヴァレリー・セレクション』上、pp.187-188)
という箇所があります。これを読んだとき、ふと天沢退二郎のことが思い浮かびました。天沢はヴァレリーの影響もあって、宮沢賢治テクストの推敲過程にこだわったのではなかったか、と。
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